おしゃれに迷う40代以降の女性にぜひ読んで頂きたい一冊。
どのページも勉強になることばかりでしたが、特に心に響いたポイントを自分の体験と感想を交えながらまとめました。
目から鱗の情報もあり、最近読んだファッション関連の本で1番面白かったです。
似合う服を知るための全身撮影
有名なパーソナルスタイリストである著者の霜鳥さんは、似合う服を知るために「今の自分を俯瞰で見ること」をオススメしています。
鏡だと、どうしても主観で見てしまうので、できれば鏡の中の自分の全身写真を撮影してみてください。
引用:霜鳥まき子『似合う服だけ着ていたい』文藝春秋,2024年,第1章
私も家族に全身や後ろ姿を撮影してもらうことがありますが、鏡の前では「いい感じ」と思っていても、実際は全体のバランスが悪かったり、細部がイマイチだったりする場合も。

自分を客観的に分析することで「もっとこうした方がいいな」という改善点が浮き彫りになり、毎回とても勉強になっています。
特に後ろ姿は自分では見えないので、背中のはみ肉が気にならないか、ヒップの形がキレイに見えているか、一度チェックしてみるといいかもしれません。
服は年間50着あれば十分
大人のクローゼットに服は何着あればいいのか?
私個人の意見としては、(中略)通常は年間50着程度で十分だと思います。
多くの方が「買い足したら代わりに何かを処分」をしておらず、(中略)服を増やし続けます。
引用:霜鳥まき子『似合う服だけ着ていたい』文藝春秋,2024年,第1章
仕事でたくさんのクローゼットをチェックしてきた著者の言葉には、説得力があります。
服の適正量は人それぞれ異なるものの、ほとんどの人は年間50着もあれば不便なく暮らせるのではないでしょうか。

私の場合、これまでの経験から、自分がきちんと管理できる服の上限は30着前後だと分かっているので、それ以上は持たないようにしています。
自分でコントロールできる量を持ち愛用していく、というのが大人の嗜みですし、環境にも優しいですよね。
引用:霜鳥まき子『似合う服だけ着ていたい』文藝春秋,2024年,第1章
(前略)新しいアイテムを迎え入れた際に、これまで似たような働きをしてくれていたアイテム達にお疲れ様を言うと、クローゼットは整然とします。
引用:霜鳥まき子『似合う服だけ着ていたい』文藝春秋,2024年,第2章
自分にとっての適正量と、服の捨て時をしっかり見極めることが大事ですね。
ちなみに、服の捨て時ランキングが載っていたのですが、私は特に第3位の「今の自分を助けてくれないもの」に共感しました。
過去に似合っていたものより、今を大切にしたいです。
大人がプチプラを選ぶなら
大人がプチプラアクセサリーを選ぶ時に最重視すべきポイントは、「安っぽく見えないこと」だと私は思っています。
(前略)大人の女性のプチプラアイテムの必須条件はなんだと思いますか?
それは「高見え」と「本物の類似品に見えないこと」。
引用:霜鳥まき子『似合う服だけ着ていたい』文藝春秋,2024年,第1章
著者が仰るように、本物の類似品に見えてしまうアイテムも、大人はなるべく避けた方が良さそうです。

もしイミテーションの宝石を身に着けるなら、本物に見えないくらい大きなサイズや、個性的なデザインを選んで楽しむのもありですね。
▼ トラベルジュエリーとして良さそう
また、大人が選ぶべきではないプチプラ服の特徴について、服選びのプロである著者はこう仰っています。

(前略)心許ない素材感や色が淡いもの・足を引っ張る付属品があるもの (後略)
引用:霜鳥まき子『似合う服だけ着ていたい』文藝春秋,2024年,第1章
私も著者と同意見で、ユニクロやGUで買い物をする時は、下記の条件を満たしている服を選ぶことが多いです。
- すぐに劣化しない耐久性のある生地
- ベーシックカラー (できれば濃い色)
- 無地 (柄物ならストライプやドットなどの定番)
- ビジューやパールなどの余計な装飾がないもの
- 金具やボタンがチープに見えないもの
このようなプチプラ服は実際の価格よりも高見えするので、大人が着てもチープ感が出にくいと思います。
なぜ濃い色を選ぶのかというと、シワや縫製の粗が目立ちにくいからです。私はブルベ冬なので、黒やはっきりした色が似合うという理由もあります。

余談ですが、著者がロー推奨アイテムの1つとして挙げている、リブニットを愛用しているので何だか嬉しくなりました。
ちなみに、プチプラアイテムを取り入れてしっくりこない時は、コーディネート全体で調整することが大事だと私は思っています。
(前略)身に着けるときに注意してほしいのは、全部の小物をプチプラにするのではなく、アクセサリーがプチプラなら、靴やバッグは高級感のあるものを選ぶこと。
引用:霜鳥まき子『似合う服だけ着ていたい』文藝春秋,2024年,第1章
全身プチプラでもスタイル抜群の美人だったり、肌や髪がキレイで若々しい方なら問題ないと思うのですが、私の場合はプチプラに偏りすぎると何だかバランスが悪く見えてしまって。

プチプラアイテムで旬を楽しみながら、コーディネートのどこかに上質なアイテムをMIXすることで、大人のハイ&ロースタイルを楽しんでます。
無難は意外と難しい
実は「無難」なアイテムこそ、自分に合っているかどうかの見極めが重要。
そうでないと「無難」の範疇にも残れません。
引用:霜鳥まき子『似合う服だけ着ていたい』文藝春秋,2024年,第1章
なかなか手厳しいお言葉ですが、「うんうんうん!」と首がもげそうになるほど頷きました。
無難な服を何となく選んでとりあえず着るのと、たくさんの中から選び抜いた「自分に似合う1着」を工夫して着るのとでは、コーディネートの完成度に雲泥の差があります。
ボーダーのカットソーやデニムって誰もが持っているのに、おしゃれに着こなすとなると、実は審美眼と修行が必要なすごーく難しいアイテムなんですよね。
私にはボーダーもデニムも難しすぎて、潔く諦めることにしました。←え?

色でいうと、最も無難に感じるのは恐らく「黒」だと思います。
どの服にも必ずと言っていいほど黒の選択肢があるし、黒を買っておけば間違いないイメージがありますよね。
しかし実は・・。
(前略)私から言わせれば、顔の彫りがそこまで深くない日本人にとっては表情も出にくく、無難というより、意思表示を頑張らないといけない色。
引用:霜鳥まき子『似合う服だけ着ていたい』文藝春秋,2024年,第1章
モード感もフォーマル感も高級感も兼ね揃えた、とてもパワーの強い色だから、その迫力に負けないようなメイクや着こなしを考えなければならない。緻密な計算が必要な色。
だからこそ、黒を素敵に着こなしている方に憧れます。
私のワードローブは圧倒的に黒が多いのですが、まだまだ修行中です。

顔がくすまないようにバッグの艶やジュエリーの輝きをプラスしたり・・。

地味にならないように原色を合わせて華やかなイメージにしたり、黒のおしゃれを楽しもうと色々チャレンジしています。
スカーフは慣れが大事
長年お世話になっているスカーフ会社社長の女性は、「スカーフは場数」と言い切り、とにかく試行錯誤がおしゃれへの近道だそうです。
引用:霜鳥まき子『似合う服だけ着ていたい』文藝春秋,2024年,第1章
少し前までは私の中で「スカーフ=おしゃれ上級者向けの扱いづらいアイテム」という認識でした。
しかし勇気を出していざ使ってみると、顔まわりが華やかになるうえに首のシワまで隠せるなんて、まさに大人向けの神アイテムじゃないか、と考えを改めました。
使えば使うほどスカーフを巻いた自分の姿に見慣れていき、今ではすっかりシンプル服コーデの定番に。

最初は気恥ずかしくても、スカーフはとにかく場数をこなすことが大事なんだな、と実感しています。
装いには生き方があらわれる
(前略)装いからは「生き方が透けて見えている」のです。
よく私は「服は内面の一番外側の表皮」と言いますが、その人が摂った食事が体や肌に出るのと同様に、暮らし方や価値観が服や体の随所に出るのです。
引用:霜鳥まき子『似合う服だけ着ていたい』文藝春秋,2024年,第1章
祖父から「装いは礼儀である」と教わってきた私。
自分の好きな服を着ることを大事にしながらも、まわりに不快感を与えない装いをしたいと思っています。

面倒だからと雑なヘアメイク&だらしない格好で毎日過ごしていないか? (ぎくっ)
会う相手や場所を尊重した装いができているか?
自分自身や持ち物の手入れはきちんと行き届いているか? (靴磨きしなきゃ…)

著者の言葉を受け、改めて品がある装いを心がけたいと思いました。清潔感と心の余裕を大事にしたいです。
プロが教える大人向けジュエリー
年齢を重ねたマダムに似合うジュエリーといえば、私は真っ先にパールや大きな宝石が頭に浮かびます。

著者と親交のある、ベテランジュエリー販売員の方は『あこやパール』を挙げていました。
(前略)レフ板効果も高いので、日常使いしてほしいのだとか。
それには、8.5~9ミリ玉で、20万~30万のものがおすすめだそうです。
引用:霜鳥まき子『似合う服だけ着ていたい』文藝春秋,2024年,第1章
私もパールをいくつか愛用していますが、着けるだけで顔色がパッと明るくなる、大人に有り難いジュエリーです。

真珠一代という言葉があるくらい大変デリケートな宝石なので、「真珠を日常使いするだなんて」とつい躊躇ってしまいますが・・。
真珠は大切に保管して代々受け継いでいくより、自分の代で思いっきり楽しむのが正解なのかもしれません。
▼ 条件を満たしているパールネックレス
また、プロが推す大人向けのジュエリーブランドが大変勉強になりました。
(前略)年齢を重ねたからこそ似合うブランドとして、「カルティエ」「ブルガリ」「ブシュロン」「ハリー・ウィンストン」などを挙げられ、いずれも「若い人が着けこなすには難しいブランド」と仰っていました。
引用:霜鳥まき子『似合う服だけ着ていたい』文藝春秋,2024年,第1章
「なるほど確かにー!」と大納得。
例えば、カルティエのパンテールとか・・。

ブルガリのセルペンティとか・・。

ブシュロンのトワエモアとか・・。

このあたりの個性派ジュエリーは、若者よりマダムの手元にあった方がしっくりくるし、より輝いて見える気がします。
一癖ある美しいジュエリーたちを使いこなし、完全に自分のものにしている大人の女性はカッコイイです。
ちなみに、下記の情報は目から鱗でした。
(前略)「この人、やるな」と一目置かれるこなれアイテムは「ブローチ」だそうです。
引用:霜鳥まき子『似合う服だけ着ていたい』文藝春秋,2024年,第1章
ミキモトかマックスマーラのブローチを買おうかな(笑)。← 単純
手放せなかった服=理想の自分
処分しなかった服は、ときには執着をあらわすこともあります。
(中略)「あー、こういう風に生きていたかったんだ」と思い出せたら、その服を、今の自分に合うサイズや質感にアップデートしてください。
引用:霜鳥まき子『似合う服だけ着ていたい』文藝春秋,2024年,第3章
昔からカッコイイ女性に憧れがあって、私にとってその象徴がトレンチコートでした。
お世辞にも似合うとは言えないし、ほとんど着る機会がないのに、なかなか手放す決心がつかなくて。
今思えば、私が手放せなかったのはトレンチコートそのものではなく、憧れだったんですよね。
トレンチコートにこだわらなくても、今の自分に似合うアイテムの中から選んで着こなしを工夫すれば理想の自分に近づけると気づき、手放すことができました。

40代の今は、自分の体型に合う柔らかい生地で、落ち着いたカラーのシンプル服を選び、無理せず自分なりのマニッシュコーデを楽しんでいます。
ミニマルワードローブの必需品
「ミニマリストのワードローブには何があればいいのか」という興味深いエピソードがありました。
誰にでも似合いそうな服ばかり揃えていたら自分らしさを失ってしまった、という話はミニマリストあるあるとしてたまに耳にします。

私のワードローブも少数精鋭かつモノトーン中心なので、一歩間違うと没個性的なコーディネートに陥りがちです。
そこで活躍するのが、ジュエリーやスカーフたち。

(前略)ミニマリストの最強の武器はアクセサリーや小物。
(中略)少ない服で飽きが来ないようにできるかどうかは、小物のラインナップをいかに豊富に持つかにかかっているのです。
引用:霜鳥まき子『似合う服だけ着ていたい』文藝春秋,2024年,第3章
著者が仰るとおり、同じ服を着ていてもアクセサリーや小物を替えるだけで印象が変わり、コーディネートの幅が広がります。


そのため、ここ数年間は上質なアイテムをコツコツ集めるようにしてきました。
「ミニマリストなのにモノを増やすの?」と思われるかもしれませんが、服を増やすよりも省スペースで長く愛用できるのでオススメです。
とりあえずの服を減らせ
大事なのは「とりあえず」の服を減らすこと。
愛されない服もかわいそうですし、それを着る人も「とりあえずな人」になってしまいます。
引用:霜鳥まき子『似合う服だけ着ていたい』文藝春秋,2024年,第3章
著者いわく、クローゼットに「好きな服」と「とりあえずの服」が混在していると、要不要の判断力が鈍り、たくさん服を持っているのにまた買い足してしまう悪循環に陥るそう。

確かに、すっきり片付いているクローゼットは「好きな服」と「必要な服」を中心に構成されていて、とりあえずの服が何着もあるケースは少ない気がします。

とりあえずの服だらけだと、クローゼットがどよーんとした重たい空気になるし、おしゃれもイマイチ決まらないんですよね。(経験済み)
私の場合、要不要の判断が難しい服は下記のように対処しています。
- 必要だけど好みではない服 → 枚数を減らす(2パターンくらいに絞る)
- 好みだけど必要ではない服 → 全く着ていないなら手放す
最後に、「高かったから処分できない」とお悩みの方へ。
不要な服の代表は「安かったから買ったもの」「高かったから処分できないもの」。
安かったから、は色形が合っていても素材が安っぽすぎ、高かったものは、そう言っている時点で「大満足なアイテム」ではないのです。
引用:霜鳥まき子『似合う服だけ着ていたい』文藝春秋,2024年,第3章
著者の言葉がガツンと響きますね・・。
本当に満足しているアイテムなら、まず処分しようとは思わないでしょうし、悩む時点で既に答えが出ているのかもしれません。
おわりに

今回ご紹介したのは、ほんの一部に過ぎません。
他にも、春夏秋冬ワードローブの作り方やアイテム別の選び方、こなれ感の正体など、おしゃれの勉強になる内容がてんこ盛りの素晴らしい一冊でした。
ブラトップの落とし穴、素敵なパートナーと出逢える婚活服、65歳になったら捨てるモノ&買い足すモノといった、他ではなかなか見られないユニークな話題も。
ファッション関連の本は、初心者向けと玄人向けに分かれがちな印象ですが、この本は誰が読んでも真似しやすく、新たな発見もいくつかあるのではないでしょうか。
ちなみに写真は1枚もなく、文章で説明していくスタイルです。

すごーく勉強になりました!